デザインで思いを届ける

たくさんの情報や意見を、すぐに検索できる今の時代、わたしたちはその恩恵を受けながら、時に笑い、時に驚かされ、時に傷つき、時に疑問を抱きます。たくさんの人と分かり合ったり、尺度の変化を実感できる、今を知るということ。それは、昨日まで常識であったことさえも、今日覆されてしまう流れの速さを知ることでもあります。

一方で、時が流れても変わらない純粋な喜びやぬくもりに、春の到来のような懐かしさを感じることがあります。人の心を動かすものは、とてもシンプルなのに、たくさんの人に長く受け入れられる大きな力を持っているように思えます。

「今を謳歌すること」と「変わらないものを慕うこと」という、相反するふたつのことを思うとき、思いを届けるセンスに必要なのは「変化を受け入れるおおらかさ」と「立ちかえる謙虚さ」をうまく組み合わせることではないでしょうか?

わたしたちにとってデザインするということは、時代に沿った形へ見た目を整えるだけのことではありません。クライアントがお客様に信頼され、ご覧になる方の心に小さな振動が起き、たくさんの人の幸せへと広がるように、よく話し合い、よく考え、見えない部分にも想像力を膨らませながら、精いっぱい表現することです。